
最初に断っておくが、私はクラプトンが好きというわけではない。しかも最近のクラプトンには全く持って興味がない。クリームは大好きだった。学生時代、試験勉強もせず、友達とも遊ばず聞きまくったグループの一つである。
なのに、何故このアルバムを取り上げたのか?
それは、このアルバムをアナログで購入した時期、実にターンテーブルに載っていた頻度が圧倒的に多かったからである。
アルバムの頭から3曲、 "コカイン"、"ワンダフル・トゥナイト"、 "レイ・ダウン・サリー"。この3曲の曲自身の魅力、そして曲順、構成に尽きる。当時、アナログレコードプレーヤーの性格上、今のCDのように一気に曲が聴けるわけでなく、A、B2面に別れているため、A面が終わったあとわざわざプレーヤーに近づいて盤をひっくり返しに行かなくてはならない手間がある。大抵はナガラ試聴(ナガラ族なんて言葉も死語だが、、、笑)している事が多いため、この手間がちょっとめんどい。読書なり、模型を作ってる時であれば、切りのいいところまで待ってひっくり返しにいく為、部屋自体が何分(場合によっては何十分)かの無音ブランクになる。また、アルバムによってはA面だけ聞きたいもの、もしくはA面よりもB面に好きな曲、聞きたい曲が集中している事も多々ありどちらか片面しか聞かない、というアルバムも少なくない。
だいたいアナログレコードの片面は20〜23分くらいの長さなので一息つくには短く、じっくり音楽だけを聞き込むには少し長過ぎる感もあった。まさに帯に短し何とか、である。片面でアルバム両面録音出来る90分のカセットテープ(この場合カセットの片面は45分なので、アルバム一枚録音するにはちょうど良い)に落して聞くのもよかったのだが、何気に音が悪くなる気がして(実際に劣化している)、それも、という感じだった。
それゆえ、出来ればジャケットから取り出してすっとA面に針を落して一曲目から興奮出来、それがしばらく続く状態がベストなのである。
そんな理由もあり、私は当時ベスト盤と呼ばれるものばかり購入していたのだが、このアルバムの一曲目すなわち "コカイン"をラジオのオンエアで聞いた時、はっきりと大好きなクリームの名曲のいくつかを思い起こさせる曲の魅力と、当時アーティストの顔が写っていないモノクロの斬新なジャケット(正確にはトレードマークの黒のストラトを弾いているクラプトンの顔から上をカットしている)の惚れ、購入したのを鮮烈に覚えている。
そして頭3曲の素晴らしさが、ターンテーブルへの運搬率を増した理由でもある。逆にその3曲以外は全くダメなのか、と言われれば他の曲も佳曲が揃っている。 "レイ・ダウン・サリー"と同じマーシー・レヴィとの共作 "ザ・コア"や、いかにもクラプトンらしい ラストのインスト"ピーチェズ・アンド・ディーゼル"はこのアルバムが発表された77年の時代背景と重なり、感慨深い。青酸コーラ無差別殺人事件、カーター大統領就任、200海里漁業協定問題、王貞治ホームラン世界新記録756号達成、福田改造内閣発足、アップルからApple II発売と、様々な出来事の中で日本もアメリカも一皮剥けようとしていたこの年。”ギターの神様”と呼ばれたクラプトンにとっても、麻薬や酒に浸った時期から復活してちょうど3作目にあたる(ソロになってからは通算7作目)、いわば勝負作。
タイトルの「スローハンド」は、御存知クラプトンの古くからのニックネーム。その由来は御存知の方も多いだろうが、彼の奏法は、凄い早いフレーズを引いていても手はゆっくりにしか動いていないに見える事からこう呼ばれている。 (一報ではライブの時、チューニング時間が異様に長過ぎる彼に観客が早く演奏しろとという罵声の変わりに付けられたという説も)
プロデューサーは最近復活で話題のイーグルス等を手がけたグリン・ジョンズ。前作までのブルース色が薄くなり多少ポップやAORテイストも染み込ませているが、アルバムの冒頭はまさに生き様も生々しく自分自身の体験談のような "コカイン"。ボーカリストとしても作曲家としても申し分ない力量を発揮し、未だにこのアルバムからライブで演奏される曲も多い事から、私自身クラプトンのソロキャリアの中でも突出したアルバムであると確信している。
1. コカイン
2. ワンダフル・トゥナイト
3. レイ・ダウン・サリー
4. ネクスト・タイム・ユー・シー・ハー
5. ウィ・アー・オール・ザ・ウェイ
6. ザ・コア
7. メイ・ユー・ネヴァー
8. ミーン・オールド・フリスコ
ピーチェズ・アンド・ディーゼル
Slowhand/Eric Clapton
スロー・ハンド(紙ジャケット仕様) [Limited Edition]
エリック・クラプトン
商品番号:UICY-9162
レーベル:ユニバーサルインターナショナル











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