
『DRAGON FLY』
BMG BVCM-35241
1960年代を代表するロックグループ、ジェファーソン・エアプレインが発展的に形を変えたジェファーソン・スターシップのファーストアルバム。1974年10月にリリースされたこのアルバムは、全米アルバム・チャートで最高位11位を記録した。オープニングの「吠えろタイガー」ではオープニングからシャープなギターが印象的。余分なものをまったく感じさせない骨太なロックでありながら、バイオリンのメロディーやコーラスワークなども駆使した意欲作と言える。それまでのジェファーソン・エアプレインとは違った方向性を感じさせる。このファーストアルバムではそういったシンプルでありながらエッジの効いたロックだけでなく、「希望の証し」のようなミディアムロック、さらにはグレイス・スリックの力強い歌声が聴ける「若くあれ君たち」といったメッセージ色の強いバラード、疾走感のあるポップロックな「キャロライン」まで、幅広い曲を収録している。ジェファーソン・スターシップよりも、80年代以降のスターシップとしての活動しか知らないという人にも受け入れられるような分かりやすいアルバムに仕上がっているところもこのファーストアルバムのすごいところ。たった8曲しか収録されていないものの、ジェファーソン・スターシップのエッセンスが惜しみなく詰まった意欲作と言って良いだろう。

『RED OCTOPUS』
BMG BVCM-35242
真っ赤なジャケットの真ん中に描かれたハートから伸びているのはオクトパス(タコ)の足。それがジェファーソン・スターシップの2枚目のオリジナルアルバムのジャケットである。「愛」をテーマに製作されたこのアルバムは全米で第1位を記録しただけでなく、アルバムからシングルカットされた「Miracles」はりリースされるや否やラジオ局でもパワープレイされ、ビルボード・ヒット・チャートの第3位まで上昇した。収録されている曲の大半は愛を歌っている。<はちみつよりも甘いお前の愛…ひとつになって愛しあおう>と歌うファンキーな「蜜よりも甘く」、思わず踊りたくなるポップロックな「愛を奏でよう」など男女の恋愛を歌った曲はもちろんのこと、「みんなで手を取り合おう」と世界平和を歌っているようなスケールの大きなバラードの「もう一つの世界」といった曲も秀逸。日本や中国にも興味を持っていたグレース・スリックが作った「Ai Garimasu(愛ガアリマス)」といった曲も私たち日本人にはちょっと嬉しい。日本語がまるで英語の一部のように聞こえてしまうところがすごい。全編に愛がちりばめられたロックアルバム。このCDにはボーナストラックとしてミラクルズのシングルバージョンとライブ音源が収録されているのもファンには嬉しいところ。

『Spritfire』
BMG BVCM-35243
「愛」をテーマに製作された2枚目のオリジナルアルバム『Red Octopus』が全米第1位を記録し、名実ともに実力派人気ロックバンドと言われるようになったジェファーソン・スターシップの3枚目のアルバム。実はこのアルバム以降も彼らは一貫して愛を歌い続けている。特にこのアルバムではサウンド面でも愛を感じさせる曲が並ぶ。メンバーの笑い声で始まるオープニングの「Crusin’」のファンキーさといい、アルバムからの唯一のヒット・シングルであるラブバラードの「With Your Love」といい、グレイス・スリックが自ら作ったラブ・バラード「Swichblade」といい、アルバム全体が優しい愛に包まれているのである。前作の成功を受けて、比較的リラックスした雰囲気の中で作られているせいか、その雰囲気がサウンドからも伝わってくるのである。特にオススメなのはラストを締めくくる「Love Lovely Love」だ。フィラデルフィアソウル風のこの曲は、もうそのメロディーだけで愛に溢れている。聞いていると一緒に歌いながら思わず腰をふりたくなってしまうサウンド。まさに「Spiritfire」を感じさせる名曲だと思う。

『Keep Deep In The Hoopla』
BMG BVCM-35249
イントロだけで私たちをあの時代へとタイムスリップさせてしまう曲がある。a-haの「Take On Me」、ユーリズミックスの「There Must Be An Angel」、エア・サプライの「Lost In Love」、ガゼボの「雨音はショパンの調べ」など、80年代のポップスにはそんな魔力がある。そして、このスターシップの「シスコはロックシティ」もそういったタイムマシンソングのひとつだ。この曲はアルバムに先駆けて1985年の10月にリリースされた。そして、あっという間に全米ヒットチャートを駆け上がり、見事に1位を獲得した。さらにこの曲に続くセカンドシングル「セーラ」はアルバム発売後の12月にリリースされ、こちらも1位を記録。スターシップはこの2曲でその地位を不動のものにした。それまではジェファーソン・スターシップとして活躍していたが、メンバーチェンジもあり、バンド名もスターシップのみとなる。このアルバムはそんなバンドメンバーたちの新たな決意があちこちに見られる。それは前述のナンバーワンヒットがオープニングを飾っていることからもわかる。特にこの2曲のインパクトはかなり強烈だ。アップテンポな「シスコはロックシティ」から一転して美メロバラードの「セーラ」のイントロが流れるとそれだけで鳥肌が立つ。アルバムはさらに第3弾シングルにもなるミディアムナンバーの「Tomorrow Does't Matter Tonight」、軽快なポップロック「Rock Myself To Sleep」と続く。当初は「商業主義に走りすぎた」とか、「ポップになりすぎた」という厳しい評価を受ける面もあったが、しかし、アルバム全体を聞いてみると実にバランスの取れたアルバムになっていることが分かる。ポップなだけでなく、従来のジェファーソン・スターシップの持つ骨太なロックもたっぷりと聞かせてくれるのだ。そこがこのバンドの底力と言えるのではないだろうか。『フープラ』はまさしく新旧のファンを楽しませてくれる力作、名作である。

『No Protection』
BMG BVCM-35250
『フープラ』からシングルカットされた「シスコはロックシティ」と「セーラ」の大ヒットを受けて、翌年1987年にリリースされたのがこのアルバムだ。このアルバムからはロマンティック・コメディ映画『マネキン』の主題歌としても知られる全米1位シングルの「愛は止まらない」がヒットした。この曲はその後も大ヒットメーカーとして大活躍することになるダイアン・ウォーレンが手がけており、グレース・スリックのパワフルな歌声が印象的なバラードだ。このアルバムにはその他にも、きらきらしたサウンドが数多く収録されている。ニューウェーブロックの流れを感じさせる「Beat Patrol」、ドラムの音が印象的な「It's Not Over ('Til It's Over)」、テクノポップ風な「Girls Like You」など、前作の流れをきちんと受け継いだ正統派ポップミュージックを感じさせる楽曲が並んでおり、まさにスターシップらしいアルバムと言えるだろう。特に圧巻なのはラストに収録されているバラード、「Set The Night To Music」だ。この曲はその後にロバータ・フラックとマキシ・プリーストによってカバーされ、スタンダードナンバーになりつつある。なお、この曲も、大ヒットメーカーであるダイアン・ウォーレンが手がけている。この後、グレーススリックが脱退し、ジェファーソン・エアプレイン時代からのメンバーが不在となったスターシップは1989年にラストアルバムとなる『Love Among The Cannibals』をリリースし、解散に至る。











インターニュース サイトへ
前のページへ
