ハイパーリンクという言葉を御存知だろうか?文書内に埋め込まれた他の文書や画像等の位置情報のことで、このハイパーリンクを用いて複数の文、および関連する画像等を関連付けたシステムをハイパーテキストという。インターネットのWebはそのハイパーテキストの代表例で、Webブラウザで閲覧した時にリンクのある場所をマウスでクリックすると、関連づけられたリンク先に飛ぶようになっている。
『スプリューム』は、「空間リンク」(日本、中国で特許取得済。米国で特許審査中)というWebのハイパーリンクに替わる仮想空間における新しいリンクの仕組みを利用した株式会社スプリュームが提供する新しい3D仮想空間プラットフォーム。
『スプリューム』では異なるサーバ上の空間でも、連続した空間のようにシームレスにつなげることができ、「オープンエンド」によって誰でも自由に一般的なwebサーバから仮想空間の配信が可能になる今までに類を見ないビジネスモデルと仮想環境を提供している。
何となく取っつきにくい仮想空間サービスが氾濫する中、デザイン面でも提供するCRブラウザが2007年度グッドデザイン賞のコミュニケーション部門を受賞する等、海外のサービス以上に馴染みやすい日本発、純日本製の『スプリューム』を運営する株式会社スプリュームの代表取締役の梶塚千春氏に『スプリューム』のメリットや現実社会との接点、今後のビジョン等をお伺いした。
-- まずは、『スプリューム』を開発されたきっかけを簡単にお聞かせください。
梶塚千春:元々私自身がコンピュータ・グラフィックスのデザイナーをやっていまして、仕事をはじめたのはつくば万博の頃で、御存知の通りGUI(グラフィカルユーザインターフェース)がまだなかった時代でした。業務用のUNIXのコンピュータ端末でテキストでデータ打ち込んでいました。たとえば”球”など簡単なかたちも全部数値で表現して打ち込みをするわけです。それを続けているとだんだん、その数値で打ち込んで出来上がるものがある程度イメージできるようになり、頭の中で空間が描けるようになったんです。その時の感覚、仮想空間の中での身体感覚に近いものって何だろうと考えはじめて、さらに仮想空間を共有する事で、密度の高いコミュニケーションを体験する事が出来ないかと考え、最初は90年代初頭に家庭用ゲーム機で仮想空間のをはじめました。その頃のゲーム機はもちろんオンラインではなかったので、パッケージの中の世界がネットで外につながっているような演出を加えて、西海岸のサブカル的要素や、メディアアート的な要素を取材して、情報空間メディアを作りました。
それが2000年以降ようやく家庭にもインターネットが入るようになって、ゲーム機の時のような実験的なものではなくて、みんながその仮想世界を共有できるようになり、自分たちが感じてきた特有な身体感覚のある仮想世界を実現し『スプリューム』を開発しました。
-- 『スプリューム』の名前の由来は?
梶塚:プラットフォームの名称として社内でいろいろ考えていた時に、新聞記事でスーパープルーム(地球のコアとマントルの境界に発生する巨大な高温のマントル上昇流)という言葉を見つけて、地球の内面から盛り上がってくるパワーのイメージを自分たちのプロジェクトに重ねたいと感じたんです。ただスーパープルームというのは長いので縮めて『スプリューム』にしました。 プルームは羽根という意味もあり、またスプリュームはラン科の花の名前にもあるので、花のイメージも加えて現在のロゴが出来ました。
-- 開発において特に苦労した点等は?
梶塚:やはり見えないものを作ろうとしているので、開発している総ての人の間で完成形のイメージがズレてしまう事がよくあって、それをお互いにすりあわせていくのが難しかったです。自分たちが何処のゴールに向かっているのか、何処にいるのかがズレてくるとそれは開発のロスにもなるし、気がつくと1〜2年平気で迷っていたりという事もありました。私自身も見失う事もあったりして、見えないものを明確にする事が一番大変でした。
-- 『スプリューム』の他の仮想空間プラットフォームと決定的に違う点はどのあたりでしょうか?
梶塚:2つポイントがあって、1つはwebと同じような気軽さで、webと同じシステムやビジネスモデルで、誰でも参入出来るようにしている点ですね。「オープンエンド」と呼んでいますが一般のwebサーバから弊社の許諾なく誰でも空間が配信出来るのが特徴です。もう一つは「空間リンク」というもので、サーバを越えて空間が繋がるというものなんですけど、これは私の個人的な思いとして、人間ひとりひとりの心の世界がそれぞれの「自分の人生体験」という箱のようなものだとすれば、そうした心の世界の表現としての仮想セカイを繋げる事によって、自分たちが一つの地球上に生きているお互いにつながりあった同じものなんだと感じる瞬間がいつか来るんじゃないかと考えています。つながる事が一つのキーワードですね。
個人的にはつながりあう仮想セカイは一種のテレパシー的なもので、多量の体験情報を瞬間的に効率よく相手に伝えるもの、例えるとイルカ同士が泣き声で人間にはまだ充分にわかっていない高度なコミュニケーションをしているのではないかと想像するときにイメージするものに近いと思います。
▲仮想空間スプリューム 2007年度グッドデザイン賞コミュニケーションデザイン部門を受賞した「スプリューム」のスクリーンショット。
-- 『スプリューム』利用するユーザーの最大のメリットは何でしょうか?
梶塚:今迄は仮想空間にしろオンラインゲームにしろ、それぞれのサービスが分断された状態であったわけですが、色々な方向性や可能性がある広大な仮想世界に一つの連続的なものとしてすぐに入っていけるという点がメリットだと思います。ユーザーさん同士がプラットフォホームの中で独自に議論をぶつけ合ったりして、真剣に仮想空間のあり方や今後の『スプリューム』の方向性等について考えていてくれているのが嬉しいですね。
-- 現在『スプリューム』をプラットフォームとしたコラボレーション企業事例などを挙げて頂けますか?
梶塚:リクルートのR25とコラボレーションした創刊3周年イベント「R25的ガク祭」や、Microsoftの「REMIX07」やフジテレビのイルミネーションを中心にした体験イベント「HOT FANTASY ODAIBA 2007-2008」が最近の事例です。
-- 正式にサービスインしたのは2007年からですが、現在のユーザー数はどのくらいでしょうか?
梶塚:まだ現状では2万人程ですが、新しいサービスの投入の準備をしていることもありプロモーションを控えている中でも、伸率は少しづつではありますが上昇しています。
-- 梶塚さん流の現実世界と仮想世界をうまく両立させる何かアイデアはありますか?
梶塚:抽象的な答えになってしまうんですが、仮想空間はコミュニケーションツールだという事を意識する必要があると思っていて、自分たちは地球というリアルな場所に存在していますが、たとえば”社会”とかって非常に仮想性の高いものだと思うんです。社会なども広い意味ではすべて仮想世界と呼んでいいと思うんです。リアルにある場所にいないと体験できないこと、たとえば朝起きてその季節の鳥のさえずりを聴くとか、そうした事はリアルで体験して、社会性が高いものは仮想世界をうまく利用して、みんなが居たい場所にリアルに居る事が出来ればいいと思います。
-- 最後に今後の『スプリューム』の方向性や弊社のビジョンをお聞かせください。
梶塚:もっとワクワクする事をしたくて、そのワクワクがみんながワクワク出来るものでありたいなと思います。今後はエンターテインメントだけではなくツールとしても使える仮想セカイを作っていきたいです。たとえばビジネスマンが携帯やラップトップで外にいながら会議が参加出来たり、立体のPowerPointみたいなものをみんなで共有したりするような、それこそ時間や場所の制約から解放されてみんなが繋がったり離れたりする出来るようなものがあればと思います。
-- 有り難うございました。
▲チャットキャスティング
フューチャータウン内の会場で毎週定期的に開催されているチャットを使った トークショー。ブロードキャスト、ポッドキャストなどにあわせて、チャットキャスト と呼ばれている。
|
【プロフィール】
|
|
株式会社スプリューム
|
○ニュース
スプリューム、松本零士原作『銀河鉄道物語』の仮想世界を1/18にオープン!
〜アニメ『銀河鉄道物語』をテーマにした空間とアバターパーツを公開〜
「スプリューム」内において、新しいテーマ空間としてアニメ『銀河鉄道物語』の仮想世界を、1月18日(金)より提供開始しました。
『銀河鉄道物語』は、わが国を代表する漫画家の松本零士氏の画業50周年記念作品です。(2003年フジテレビ・BSフジで放映)
今回の仮想世界は、株式会社プラネットエンターテイメントの協力のもと、OVAの『銀河鉄道物語』のメインキャラクター機関車の「ビッグワン」を仮想空間に再現し、登場キャラクターの劇中の制服パーツも同空間内にて提供したします。販売パーツの種類は、8頭身男女のアバターのみになります。
今後は、他の様々な列車も順次追加をしていく予定です。さらに、同空間内でのチャットやファンミーティングなどのイベントも開催してきます。
今回公開する仮想世界は、同アニメ作品向けに制作されたコンピュータ・グラフィックスの元データを移植して、実現をしました。
今までの仮想空間サービスでは、仮想空間向けに新たに三次元の空間やオブジェクトデータを制作しており、制作コストや手間が膨大にかかっていました。
このたびの方法では、ゼロから新たにデータを作るのではなく、データをコンバートして仮想世界を実現していますので、新たに仮想世界を構築することに比べて圧倒的にコストパフォーマンスに優れていると同時に、オリジナル作品の持つ質感や世界観を再現しています。『銀河鉄道物語』の機関車、「ビッグワン」に関しては、仮想空間を越えた圧倒的な存在感を感じていただけると思います。
今回のようなアニメ作品との連携は、仮想世界のひとつのモデルケースとして弊社が他に先駆けました。今後は、株式会社プラネットエンターテイメントと協力し、同社の新作アニメーションの仮想世界の公開なども手掛けていく予定です。
スプリュームの『銀河鉄道物語』の仮想世界の詳しい情報はこちら












インターニュース サイトへ
前のページへ
